国会内外での混乱の中、先週18日(金)に安全保障関連法案が参議院で可決され成立しました。
安保法制に対する私のスタンスは、以前のブログで書いた通りですので、そちらをご覧ください。
さて、報道等で皆様も既にご承知の通り、「維新」の再分裂が決定的な状況となりました。
橋下徹大阪市長・松井一郎大阪府知事を中心とする"大阪系"と、松野頼久代表・江田憲司前代表らの"民主党との連携重視の野党路線派"との対立構図については、既に多くのメディアや識者の方が解説していますので、このブログではさらにその根底にある問題を考えてみます。
維新再分裂の根底にある問題。もっと言えば、国政・国会を劣化させている最大の要因は「衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制」であると私は思います。「思う」というより、これは2年間ではありましたが永田町に身を置き、維新の会の最初の分裂(平成26年6月『日本維新の会』が『維新の党』と『次世代の党』に分党)を真っ只中で経験しての「実感」です。
どういうことか?
松野代表を中心とする現在の「維新の党」執行部が、なぜ野党路線をとって民主党との合流を目指すのかといえば、ハッキリ書くとそれは選挙のためです。衆院選で過半数を獲って政権の座に就くためです。松野氏とは野党再編について何度も直接話したことがありますが、「維新と民主の票を足せば、自民に勝てる選挙区が沢山あるんだ。政権獲らなきゃ何も出来ないんだから、まずは野党がまとまって自民党と真っ向勝負できる状況をつくらないと話にならない」と口癖のように言っていました。
私としては、選挙ってそこまで単純な足し算ではないだろうと今でも思っていますが、松野氏のような発想が出てくるのも結局(比例代表という小政党への配慮があるとはいえ)「基本的に各選挙区で一人しか当選できない」という今の選挙制度に原因があります。自民党に対抗して政権獲得を目指すために「自民党のやることには何でも反対」というスタンスが対立軸として鮮明で、メディア的にも判りやすく採り上げられるのです。もっと言えば、過去も現在も、そしておそらくこれから先も、この選挙制度が変わらない限り日本において「反自民による政権交代」という一点でしか野党がまとまる手段は無いというのが私の偽らざる実感です。
昨年私が経験した維新の最初の分裂も、まさにこの点が原因でした。
私を含め多くの所属議員が「急がず段階を踏んで進めるべきだ」と主張する中、「野党勢力結集への第一歩」という名の下、政策の基礎となる政治理念や国家観・歴史観に大きな隔たりがあった江田憲司氏率いる『結いの党(当時)』と一気に党合併を進めた結果、『日本維新の会』は分党という最悪の結末を迎えました。
今後、政治理念や基本政策が大きく違う野党同士が新たに合併しようとしても、また同じような分裂を繰り返すことになるでしょう。
仮に何とか分裂を回避しても、「反自民による政権交代」という一点のみで無理やり一緒になって行われる政治がどういう結果になるか、私たちは民主党政権の失敗で痛いほど経験したはずです。
では、多くの国民が望む「与野党間で健全かつ建設的な議論が交わされ、日本を前に進める政治」が行われるためには、一体どうすればいいのでしょうか?
私は、戦後政治史における役割を既に終え、今となっては弊害ばかりが際立つ「衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制」を変える以外、本質的かつ構造的な解決はできないと考えています。
こう書くと、「さかもとは、政権交代が起きず政治腐敗がはびこる以前の選挙制度に戻せというのか!」というご批判が飛んできそうですが、私も今の選挙制度になった経緯は知っていますし、単純に以前の制度に戻せと主張するわけではありません。
全く新たな「2名連記制」という仕組みを加えて、1つの選挙区から3〜5人の議員を選出する政権交代可能な新しい中選挙区制を提案しているのです。
「2名連記制」とは、読んで字のごとく有権者が投票の際に2名の候補者の名前を併記できるシステムのことです。この制度下では、政権を狙うような大政党ならば、それぞれの選挙区で過半数以上の候補者を立て複数人の当選を狙います。有権者からすれば、政党で選ぶならば同じ党から2名選べば良いし、人物本位ならそれぞれ別の政党から選んでも良い。小政党でも1名を当選させることは可能なので、現在のように大きく中身の違う政党同士が無理に一緒になろうとする必要も無くなります。
「選挙で候補者2名の名前を併記する」というかなり斬新な方法ですし、もちろん中選挙区制自体にもメリットとデメリットがあります。しかし現行制度よりはよほど民意を正確に反映しつつ、政党と代議士個人のパワーバランスの偏りも改善されるはずです。私の予想では3〜4程度の政党による、連立を前提とした建設的でバランスのとれた政治が実現できるのではないかと考えています。
落選し国政から距離を置く今の立場だからこそ、あえて政局ではなく根本的・本質的な視点から今回の件を捉えてみました。
ここまで読んでくださった皆様それぞれ、色々なご意見があると思います。ぜひ気軽にコメント頂ければ嬉しいです。
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